旧正月の菊の鉢、数百鉢が歩道に放置 ― クアンナム省タムキー市

旧正月の菊の鉢、数百鉢が歩道に放置 ― クアンナム省タムキー市
新年の華やかさの裏で
旧正月(テト)は本来、家々が花で彩られ、人々に新しい一年への希望をもたらす季節である。しかし、クアンナム省タムキー市では今年、売れ残った数百鉢もの菊が歩道に放置され、華やかな雰囲気の裏に寂しさと混乱を映し出している。
歩道を埋め尽くす売れ残りの花
テト明けの朝、グエン・ヴァン・チョイ通りと新都市ADB地区の交差点には、100鉢以上の黄色い菊が歩道を覆い尽くし、歩行者は車道に降りて通らざるを得ない状況となった。交通の安全が脅かされる中、世話をされない鉢の菊はしおれ、倒れ込み、無残な姿をさらしていた。
市内各地に広がる同様の光景
ファン・チュー・チン通りやレ・ズアン通りの交差点でも、40鉢以上の菊が放置されている。商業施設の前では、通行人に花が折り取られたり、鉢を再利用するために土だけが歩道に捨てられるなど、都市景観をさらに悪化させている。
新都市ADB地区やタン・タン坊の道路沿い、さらにはグエン・ヴァン・チョイ橋の歩道にも数十鉢の菊が見捨てられ、土が抜かれた後に枯れた茎だけが残されるという光景が広がった。
商人たちの苦境
「花はクアンガイ省から仕入れた。輸送費や場所代を含めると、1鉢あたり15万〜60万ドン(約900〜3600円)で販売していたが、今年は全く売れなかった。旧暦30日の午後には数万ドンに値下げしたが、それでも残ってしまった」
そう語る商人は、数千万ドンにのぼる損失を抱え、撤去や処分にかける費用すらままならず、歩道に花を残すしかなかった。
清掃員の徹夜作業
クアンナム都市環境株式会社の担当者によると、「旧正月中は清掃員を動員し、売れ残った花を撤去して歩道を元通りにした。今年は売れ残りが例年より非常に多く、特にグエン・ズー湖の花市では、大晦日から元旦の正午まで徹夜で片付けた」という。
菊の文化と現実
クアンナム省では、旧正月に家や事務所の前に黄色い菊の鉢を二つ飾ることが幸運を呼ぶとされ、毎年欠かせない風習となっている。菊はクアンガイ省で栽培され、テト前に商人が仕入れて販売する。しかし、今年は消費需要の低下により、かつては喜びを象徴した花が、逆に「負担」となって街中に放置される事態となった。
結びに
華やかさを演出するはずのテトの花が、放置されることで都市景観を損ない、人々に後味の悪さを残している。これは単なる景観問題にとどまらず、地域経済や生活習慣の変化を映し出す現象でもある。伝統を守りながらも、持続可能な形で花文化を存続させる工夫が、これからの課題といえるだろう。